ピアノ小品集「夜の窓辺にて」楽譜
- ダウンロード商品¥ 700
ピアノ小品集「夜の窓辺にて」-ロクリア旋法とこどものための- 冨田悠暉 作曲 全く新しい語法を用いて書かれた、こども向けのピアノ小品集です。 収録曲数は28曲、参考音源付き。 無断転載や再頒布は禁止とさせていただきます。 全曲試聴はYoutubeから↓
《曲目》
1. 新月の子守唄 2. 水底に沈んだ星座 3. 雨がさの下のワルツ 4. 交わらない二星の献歌 5. いらなかった鎮魂歌 6. あの子と話した 7. 授業中のワルツ 8. なに いってるのか わからない 9. 雲の第一走者 10. 影ふみおには赤おに 11. 夢に出てきた子 12. 寝ているわたしと空が見える 13. 雪のふった朝 14. 同じ湯船で友だち 15. きのうのあそび 16. 夜桜のひとりごと 17. あつくって ねむれない 18. おもいだせない夢 19. 街のからすの守り唄 20. 夕暮れはタイムマシン 21. 好きな子ができて…… 22. いたずらっ子のステップ 23. ⺟さんが ねずに ないてる 24. よるのむこうに みた こたえ 25. あめんぼと流星群 26. あまつぶの出航 27. 窓に映った迷子の詠唱 28. 夜の窓辺で みたものは
−この曲集について−
夜、月、虚像に実像。どれも光の対照としてあるものだ。ということは、光は陰の対照としてあるものだ。光が照らさない場所を陰というなら、陰が照らさない場所を光というのだ。人々は平和を願うが、世界中が平和になったとき、一体何が“平和”の意味になるのだろうか。差別を嫌う人々は、世界が差別に満ちたとき“差別がなくなる”ことを知らない。鏡に映った君自身は、君ではないものに囲まれて、いかにもおぼろげだ。少年少女はそのとき、はじめて自分が「世界の一部」ではないことを知る。そして、自分以外の誰もが“自分ではない”ということも。 だから、この曲集は「こどものための」曲集なのだ。夜、自室で窓の外の世界を見つめるのは、大人ではなくこどもだから。出来るだけ平易なピアノ曲集に仕上げたつもりだが、結果としてさほど“こども向け”の難易度にならなかったかも知れない。だとしたらそれでも良い。この曲集は、必ずしもこどもが「弾くための」曲集ではない。ただし、幼いピアニストがこの曲集を弾くとしたら、その意義は計り知れないものになるだろう。 「ロクリア旋法」という旋法は、まさに音楽の「陰」の部分だ。上下さかさまになった世界で、“音楽”がもてはやされる代わりにロクリア旋法はどんどん無視されていった。人々は音楽を「光」だと思いたがったのだ。しかし、光に満たされた視界で々は“何を”見るのだろうか。月の見えない白夜の地平で、人々はだんだんと飽和した光の中に飲み込まれていった。みずから進んで“闇の輝き”を忘れ、思い出さず、そしてそのまま大人になっていった。 この曲集では、そんな“輝かしき闇”を28 曲ご紹介する。28 曲の全てがロクリア旋法で書かれ、この“闇の音楽”は君たちが弾き慣れた“光の音楽”とは少々異なった運指を要求するので、はじめは⼾惑うかも知れないが、きっとすぐに慣れるだろう。なぜなら、闇や陰は常に光とあるものだから。悪魔の旋法は、もはや忌まわしきものではない。漆⿊の翼をもって夜の空に飛び立ち、月の光を浴びながら水面に降り立つくらいのことはできるのだ。 最後に、この曲集の制作に用いたロクリア旋法理論「TLT」の創案に際して、榊山大亮先生、ロクリアン正岡先生、木下牧子先生、小山清茂先生など多くの先人の薫陶を受けた。ここに、その感謝を記しておきたい。 冨田 悠暉